その後の考察 02.08.12

 

鶴見事件のその後の考察
2002年8月12日
鶴見事件主任弁護人 大河内秀明

 鶴見事件はすべての審理を終え,あとは10月30日午前10時の判決を待つばかりとなりました。
 最終弁論の後,改めて全訴訟記録を丹念に見直してみた結果,不安材料はどこにも見当たらないこと,そして証拠によって被告人の高橋和利さんの無実が明白に証明できることから,強盗殺人については無罪の判決しかありえないと自信を深めました。
  すなわち,女性被害者が外出したという証拠がないこと,及び仰向けに倒れた男性被害者のシャツの肩部付近に鈍器で殴打したときに付いたとみられる女性の血液による擦過血痕が付着していることから,まず,検察官の主張する「男性→女性」の順の殺害可能性が完全に否定されます。次いで,男性が事務所に戻る数分前に女性が電話に出ていること,及び倒れている男性のシャツに女性の血液による飛沫血痕が付着していることから,女性が先に殺害されて倒れているところに外出先から事務所に戻ってきた男性が続いて殺害されたという可能性もなくなります。
  結局,男性,女性がそれぞれ別々に1人でいるところを襲われて殺害されたという異時殺の可能性は考えられず,被害者両名が一緒にいるところを襲われて殺害されたという同時殺の可能性だけが残ります。
  その結果,単独犯が鈍器を用いて同時殺を実行することは現場の状況から考えて不可能であることから,共犯の存在を想定することのできない高橋さんの犯人性は否定され,高橋さんは強盗殺人の犯人ではないということになります。
  このようにして,高橋さんは強盗殺人については無実であり,論理的可能性としては無罪判決しかありえないという結論になります。

 


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