鶴見事件第21回公判のご報告02,3,27

             

弁護団 各位

支援の皆様へ            弁護人  大河内秀明

 

今回も嬉しいご報告ができることになりました。

 


 

☆ 本日,3月27日PM1:30〜,第21回公判が開かれました。


1 Iさんの証人尋問


  被告人の高橋和利さんは,捜査段階において,取調官の米田刑事に対して,事件当日,被害者の事務所から車で4,5分のところに車を停め,そこから男性被害者に電話をし,そのあと2,3か所に電話をしてから,被害者の事務所に行ったところ,被害者夫婦が死んでいたと弁明しています。

  しかし,警察官調書では,高橋さんのこの弁明は無視され,高橋さんは,男性被害者に電話をした後,すぐ車を発進させ,事務所に向かったことになっています。

  1月の第19回公判と,今日の第21回公判で,弁護側が申請していた3人の証人が採用され,証人尋問が行われました。

この3人は,高橋さんの弁明を立証するのが目的の証人ですが,Iさんは,今日の法廷で,「高橋さんが,すでに亡くなっているIさんのお母さんに,犯行時間帯に,電話をしていること」をはっきりと証言しました。

14年前の出来事ですが,高橋さんを父親のように慕っていたIさんは,高橋さんが強盗殺人事件の犯人として逮捕されたことに大きなショックを受け,その印象があまりにも強烈だったので,そのときのことを今でもよく覚えていると証言しました。

裁判官は,Iさんのこの証言を信用できると評価したようです。

昨年11月の第17回公判で,米田刑事に対する証人尋問において,弁護人は,初めてこの話を持ち出し,「警察は,捜査段階において,Iさんのお母さんに会って,高橋さんの弁明の確認をしている」,ということを言わせようと迫りました。しかし,弁護人がその事実を掴んでいるとは思ってもみなかった米田刑事は,弁護人のこの不意打ちの尋問に慌ててしまい,とっさに,「高橋さんからそのような弁明はなかったし,従ってそのような裏付け捜査をしたことはない」と,事実に反する証言をしてしまいました。しかし,これは,確たる証拠に基づくもので,それを否定し,白を切った米田の証言は,著しく裁判官の心証を悪くしたと思います。

2 検察官による的場教授の証人請求は,結局,却下されました。

前回の公判で,裁判長は,証人請求の必要性について,さらに補充するよう検察官に求めていました。

検察官は,弁護人の反論を恐れたのか,公判の直前である3月25日の夕方になってやっと,的場教授作成の意見書をFAXで弁護人に送ってきました。その内容は,先に作成した鑑定書を粉飾したデタラメなもので,これを鵜呑みにして証人採用されてはたまらないと思った弁護人は,急きょ,裁判所に,口頭による反論の機会を設けるよう申し入れました。しかし,裁判所は,弁護人の反論をまたないで,的場教授を尋問する必要性はないと自ら判断し,検察官の請求を却下しました。 

以上のように,今日の公判も弁護人の思惑どおりの経過で終始しました。


☆今後の予定

1 次回公判は,4月17日午後1時30分からです。

  この日が最後の審理となります。かねてから,裁判官は,審理の最後に簡単に被告人質問をすると言っていましたので,予定どおり,それを実施するということです。

2 次々回公判は,7月15日午後1時30分からです。

  弁護人,検察官の双方が最終弁論を行います。予定時間は,弁護人が2時間,検察官が1時間です。


☆ 総括 

  現在,検察官の主張の核心である殺害順序(検察官は,先に男性が殺害され,そのあと外出先から戻ってきた女性が殺害されたと主張しています),凶器(検察官は,バールとプラスドライバーであると主張しています),ともに,証拠の裏付けがなくなりました。証拠上は,殺害順序は,被害者両名は一緒に事務所にいるところを襲われて殺害されたとみるほかなく,また,バール及びドライバーの凶器性は完璧に否定されています。

  冤罪事件かどうかを見分ける決定的なポイントは,自白と物的証拠が一致するか否かにかかっています。本件では,すでに自白と物証の不一致は明白です。まさに,冤罪事件として自己崩壊寸前です。

  それに加えて,さらに,高橋さんには,殺害時間帯に,他に電話を架けていることが,Iさんなどの証言で明らかになりましたので,逆転無罪の判決となる見通しが益々濃厚になりました。

  ここまで来れたのも,弁護人の粘りももとよりですが,なによりも支援の皆様のご尽力の賜物であると心より感謝しております。

  支援してくださっている方々に,できるだけ早く,より詳細なご報告をしたいと考えていますので,日本基督教団に設置された事務局と日程を調整し,その機会を作りたいと思います。

  報告集会には,1人でも多くの支援の方々が,ご参集されますことを願っております。

 


[鶴見事件TOPへ戻る]

[ホームへ戻る]

inserted by FC2 system