刑事裁判の現状

 

 著名な刑事法学者である平野龍一博士が十数年前、「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」と痛烈な批判をしましたが、その後、改善されるどころか、ますますひどくなっているのが現状です。
 市民の目の届かない裁判所という事実上の密室で行われている刑事裁判を白日のもとにさらす以外に、それを改善することは期待できないと思います。
 行政官僚の信用は地に墜ちましたが、少なくとも刑事裁判に関するかぎり、司法官僚、とくに裁判官の信用も、刑事弁護士・刑事法学者など、刑事裁判の実務に詳しい人々の間では失墜しつつある、というのが偽らざる実感です。
 今や、改革が必要なのは行革だけに限ったことではないのです。国民の目から見えにくいので見落とされがちですが、司法改革も同様なのです。

弁護士 大河内秀明

[鶴見事件TOPへ戻る]

inserted by FC2 system